ナチュラルなシャンパーニュとしてフランス、そして当店でも絶大な人気を誇る「ドラピエ」
シャンパーニュの南端、オーヴ県ウルヴィル村にあるメゾンを訪問しました。

ブドウにやさしい醸造所

ドラピエでは上質なブドウをフレッシュなままで負担をかけないよう醸造する取り組みがなされています。

一つはこの醸造所の場所です。この場所はドラピエが所有する全ての畑から半径15km以内に位置しているため、全てのブドウが新鮮な摘みたてのうちに醸造所へ運び込まれます。

さらにドラピエの醸造施設はグラヴィティーシステムを採用しています。ブドウの負担を極力減らすために、重量によって次の工程へと果汁が自然に移動していきます。

自然な熟成は大樽で

発酵と熟成はブドウの区画ごとに別々で行われます。熟成は木樽と一部ステンレスタンクが用いられます。熟成をフードル（大樽）で行う事で丸く熟成し、樽香がつかない点が重要だといいます。

一部タマゴ型の木樽によって熟成されますが、この形によって樽内では自然に対流します。力強いニュアンスを持つ果汁をこの樽によって更に良い状態を引き出す事ができます。

当主ミッシェルとドラピエカーで畑へ

醸造所の見学が終わり、いよいよドラピエ当主のミッシェル・ドラピエ氏が登場。実は前日の夕食をトロワ市内で一緒に頂きましたが、とてもフレンドリーで明るい人柄の人物です。シャンパーニュの生産者同士にも数え切れないほどの知り合いがいる事が実感できます。

ドラピエ自慢のクラシックカーで畑まで移動します。奥様からの誕生日プレゼントで4台所有しています。

ウルヴィル村はシャンパーニュの南端ということもあり、建物はなくブドウ畑が一面に広がっています。

灰になった畑「グランサンドレ」と古代品種

「グランサンドレ」と呼ばれる区画に到着。この畑のブドウは、ドラピエの上級キュヴェ「グランサンドレ」に使われます。ここは大昔に火事で全て灰になったそうです。南向きの斜面ですが強すぎないとても繊細なブドウが育ちます。

さらに移動し古代品種の区画へ。ブドウ品種はアルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ・ブランが植えられており、キュヴェ「キャトゥール」に使用されます。ピノ・ノワール等の主要3品種よりも希少な品種です。

ドラピエを堪能するランチ

再び醸造所に戻り奥様の手作りランチを頂く事が出来ました。食前にはロゼ ブリュット・ナチュールと生ハム・サラミ。ハムとロゼはミッシェルおすすめの組み合わせです。ピノ・ノワールの力強さと補糖しないドライな味わいが、赤身の肉料理などにもしっかりと合います。

ランチにはミッシェル氏の娘シャルリーンさんも同席。彼女も既にドラピエの一員として活躍しています。

フォアグラと野菜のスープ、そして鶏肉のシャンパーニュ煮込みが登場します。ここではキュヴェ シャルル・ド・ゴールとグランサンドレ。シャルル・ド・ゴールの繊細で上品な味わいと、濃密で芳醇なグランサンドレの味わいはどちらも美食にとても合うシャンパーニュでした。

食後には、シャンパーニュのドサージュ（補糖）に使用されるリキュールを特別に試飲させて頂きました。オーガニックな砂糖とドラピエのブドウ果汁を長期熟成して造られており、とても濃厚ですが後味がすっきりとした味わいです。

ドラピエは、当主ミッシェルが娘シャルリーンの誕生をきっかけに自然にやさしいシャンパーニュを造る事を決め、酸化防止剤を減らし有機栽培を導入してきました。今回、ミッシェルの人柄とシャンパーニュ造りへの情熱に触れて、世界で愛されるナチュラルなシャンパーニュの味わいに今まで以上に納得しました。当店をご覧の皆様にも、まずは味わって頂きたいシャンパーニュです。