ポル・ロジェ社よりローラン・ダルクール社長が来日

英国王室御用達メゾンとして知られるポル・ロジェ社よりローラン・ダルクール社長が来日。プロフェッショナル向けのテイスティング・セミナーを開催していただきました。

『気品と優美』を哲学とするポル・ロジェ社が誇る格調高いシャンパーニュを、社長自らのコメントと共に堪能する何とも贅沢な内容。試飲したのは以下の5アイテムです。

ノン・ヴィンテージはすべて同一のアッサンブラージュ。ドサージュ量を調整する事でピュア/ブリュット・レゼルヴ/リッチが生み出されています。

テイスティングレポート

ピュア（エクストラ・ブリュット）

エクストラ・ブリュット表記ですが、実際はドサージュ・ゼロ。洋梨やイーストを感じる豊かな香りから始まり、ドライな飲み心地で柑橘類の新鮮さが広がります。フィニッシュには微かに蜜のような甘さを感じる緻密な味わい。「刺し身などの和食に是非！」とローラン社長の言葉にも納得です。

ブリュット・レゼルヴ

ローラン社長が「最も労力がかかるキュヴェ」と語るのがスタンダードであるブリュット・レゼルヴ。毎年一貫したスタイルを追求し、メゾンの機軸となる商品として細心の注意が必要となります。現在のキュヴェは2011年をベースに2008、2009、2010年もブレンドされ、5年に及ぶ熟成を経ています。芳醇な果実味と鮮明な酸のバランスが実に見事！

リッチ（ドゥミ・セック）

シャンパーニュ地方では伝統的に甘口のキュヴェを”Rich（フランス語読みでリッシュ）”と呼ぶそうです。黄桃やカスタードクリームの香り。熟したフルーツを味わうような自然な甘さが軽快に楽しめます。これもやはり美しい酸の存在感が際立ってこその軽快さ。

ヴィンテージ・キュヴェにはピノ・ムニエがブレンドされていません。グランクリュもしくはプルミエクリュから厳選したピノ・ノワールとシャルドネで構成。

ブリュット・ヴィンテージ 2006

「2006年は非常に暑く、それゆえにふくよかで丸みのあるスタイルが生まれた」とのコメント。確かにコクを感じるアロマ、濃縮した果実味と奥深い熟成感がありややビターなニュアンスが余韻を引き締めます。ボリューム感を優雅に表現した逸品。　

キュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル 2004

グランクリュの非常に古いブドウ樹から収穫したシャルドネとピノ・ノワールを使用。アッサンブラージュは門外不出。凝縮したアロマは蜂蜜や焼き菓子、満開の花など魅惑的で多彩！流れるようなアタック、たっぷりとした味わいが口中を満たします。きめ細やかなタンニンが心地良く、躍動的で長い余韻が続きます。

ポル・ロジェ×日本料理

同日夜には愛好家のお客様向けに、日本料理の名店神戸たむら様にて絶品の懐石料理と共に、ポル・ロジェのシャンパーニュが饗されました。”兵庫のおいしい恵みを味わう”をテーマとした繊細なお料理との素晴らしいマリアージュの数々。コースに合わせて、昼とは異なるキュヴェも登場しました。

ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ 2008

※次回2009ヴィンテージが2017年6月発売
ローラン社長が「飲むダイヤモンド」と称するブラン・ド・ブランはグランクリュのシャルドネ100％。淡路沖油目の焼き霜や湯葉刺しと驚くほどマッチングしました。デリケートなタッチで柔らかさがありながら、シトラスの豊かな風味も楽しめます。

ロゼ・ヴィンテージ 2008

神戸牛の石焼、香住産ホタルイカを使った酢の物には豊満なヴィンテージ・ロゼを。赤い果実の官能的なフレーバーにオレンジピールのニュアンス。リッチさがありながら、綺麗に調和した味わいにはフィネスも兼ね備えています。

ローラン社長の気さくな人柄に魅了されながら、ポル・ロジェのシャンパーニュを味わい尽くしました。元英首相チャーチル氏も愛した気品溢れる存在感は、他に類を見ません。

どのキュヴェにも一貫した力強さがありました。気品とは芯の強さがあってこそ自然と現れ、ぶれない軸をさり気なく表現するスタイルこそがエレガンスであると感じられた印象深いセミナーでした。