第4世代ローラン・オストム氏が語る、伝統メゾンが描く「未来のシャンパーニュ」
先日、当店にM.オストム(シャンパーニュ・オストム)の第4世代当主、ローラン・オストム氏が来社されました。コート・デ・ブランの北端に位置するグラン・クリュ「シュイィ」で、16世紀から続く歴史を背負う彼から、シャンパーニュ造りへの想いと革新的な取り組みについて直接お話を伺いましたので、その内容をレポート形式でお届けします。
「テロワールの声を、一切のノイズなしにボトルへ」
ローラン氏がまず語ってくれたのは、自身のワイン造りの根幹となる哲学です。「シュイィの白亜(チョーク)質土壌の個性を、ノイズなしにボトルに封じ込めること」を最大の目標に掲げていると教えてくれました。 かつてはリッチで肉厚と評されたシュイィのシャンパーニュを、現在はより緻密で透明感のあるモダンなスタイルへと進化させている点について、静かな言葉の中にも自らのアプローチへの確かな自信を覗かせていました。
深海にボトルを沈める理由:「H0プロジェクト」の真実
特に私たちの知的好奇心を強く刺激したのが、「H0(エイチ・ゼロ)」プロジェクトや海底熟成に関する話題です。 「これは単なる話題作りではありません」と彼は語ります。高圧・恒温・無光という自然の驚異である海底環境と、完璧に管理された地下セラーでの熟成。この2つの環境の違いが、シャルドネの骨格にどのような変化をもたらすのか。これらを科学的な視点で検証し、テロワールの新たな表現を探求しているという言葉からは、シャンパーニュの限界を押し広げようとする真摯な探求者の顔が垣間見えました。
精緻な醸造と、次世代を見据えたサステナビリティ
醸造技術についても、非常にテクニカルで詳細な解説がありました。
ブドウ本来のピュアな果実味を守るためにステンレススチールタンクを主体にすること。そして、最低36ヶ月から上位キュヴェでは約10年にも及ぶ長期瓶内熟成が、ワインに多層的な奥行きを生み出していると解説してくれました。 また、近年のヴィンテージではブドウの成熟度が極めて高いためドサージュ(糖分添加)を低減し、さらにマロラクティック発酵をあえて行わない(ノン・マロラクティック発酵)ことで、ブドウ本来のフレッシュな酸を保持。「シュイィ特有のふくよかなボディと、美しく引き締まった酸の完璧なバランスを表現している」と語る姿からは、プロフェッショナルとしての誠実な姿勢が伝わってきました。
さらに、フランス農務省認定のHVE(環境価値重視認定)をいち早く取得した点についても、「次世代に健全なテロワールを繋ぐため」とその意義を丁寧に教えてくれました。
ローラン氏の言葉に直接触れ、M.オストムのシャンパーニュがなぜ今、世界中のプロフェッショナルから高く評価されているのかを深く納得する時間となりました。彼の知性と探求心が詰まったボトルを、ぜひ皆様もご体感ください。
若きシャンパーニュの造り手コンクールで好成績をおさめた今注目の当主が、シャルドネの聖地コート・デ・ブランのグラン・クリュで造るブラン・ド・ブラン。
ピノ・ノワールの力強さとシュイィ村の気品が調和した逸品。深い果実味と洗練された酸が織りなす贅沢な余韻。
若きシャンパーニュの造り手コンクールで好成績をおさめた今注目の当主が、シャルドネの聖地コート・デ・ブランのグラン・クリュで造るミレジメ2013
特級畑シュイィのシャルドネを100%使用。ノン・マロラクティック発酵による引き締まった酸と、グラン・クリュ由来の美しい塩味が調和する、極めて洗練された至高のブラン・ド・ブランです。
オストム シュイィ グラン クリュ キュヴェ M.09 ミレジム 2009
特級畑シュイィのシャルドネが紡ぐ、10年以上の時を超えた円熟の極み。長期熟成による芳醇なアロマと、ノン・マロラクティック発酵がもたらす引き締まった骨格が調和する、極めて洗練されたグラン・クリュです。
営業日のご案内
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