偉大な存在感を放つドメーヌ・パスカル・ドケ

コート・デ・ブラン地区、ヴェルテュ村に本拠を構えるパスカル・ドケ。1995年に父から受け継いだドメーヌ・ドケ・ジャンメールを8年にわたり家族で経営していましたが、妹から分割相続していた畑を購入したことで、2004年自身の名を冠した「ドメーヌ・パスカル・ドケ」として独立することとなりました。

父側の畑の所有権の関係上、RMにはなりませんが、パスカルが全区画を担っており実質RMと同じ哲学で栽培を行っています。

現在では著名ワイン評価誌「メイユー・ヴァン・ド・フランス」2024年度版にて、三ツ星生産者として名だたる一流生産者と共に殿堂入りを果たすほどの快挙を成し遂げました。これは5000以上存在するシャンパーニュの造り手の中で僅か11軒のみに与えられた名誉で、パスカル・ドケの偉大な存在感を物語っています。

ビオロジック農法に尽力を注ぐパスカルの哲学

独立前から有機栽培に興味があり、リュット・レゾネを始めていたものの、畑の持つテロワールを全て表現するためには“ビオロジック農法”での栽培が必要と考えていた彼は、独立を機に全ての畑をビオロジック農法に転換。

2001年に除草剤の使用を一切撤廃してからは、表土にしか張っていなかった根が、2年後には40センチ、2006年にはさらに地中深くまで行き届くまでの変化を遂げました。

畑にはハコベやウマゴヤシなど、現在数種類の植物が共存し、土壌を活性化させると同時に、ブドウ樹と自然界の生態系がバランスよく補完し合う栽培方法を取り入れています。また、天候などにより適宜耕作方法を工夫することで、パスカルの畑はフカフカの生きた土壌が守られています。

永続的リザーブワインによるテロワールの体現

収穫近くになると、パスカルは自ら毎日ブドウを食べ味覚で確認し、完熟するタイミングを計ります。その緻密な畑作業により熟度の高いブドウができ、シャンパーニュでは一般的なシャプタリゼーションを行わずとも、上質なシャンパーニュが生まれます。

熟成容器にもこだわり、ステンレスタンクよりも還元的なアロマが発生しにくいエナメル・スチール製タンクを取り入れたりと、ブドウの持つポテンシャルを最大限に表現できる熟成容器を追求しています。

リザーブワインには、ソレラからヒントを得てVin de Réserve Perpétuelle(永続的リザーブ・ワイン)を使用しています。ビオ認証を得た2012年から毎年補填。キュヴェによっては45%以上と惜しげもなくリザーブワインをブレンドする事で、ブドウが刻んできたテロワールの個性をより深く表現しています。