注目のドメーヌ、ニコラ・マイヤールとは？

1753年から9世代に渡り続く家族経営のドメーヌ。2003年よりニコラ・マイヤールが当主となり、その名声をより一層高めています。

ニコラはボルドー大学で醸造学を学び、エノログの資格を取得した後に南アフリカ、オレゴン等での修行を経たグローバルな視点を持つ人物。その経験は現在のシャンパーニュ造りに活かされていると言います。

畑はマサル・セレクションによる株で平均樹齢30年以上と高く、厳格なリュット・レゾネ栽培を実践しています。ブルゴーニュにおける別格の存在マダム・ルロワが所有するドメーヌ・ドーヴネから譲り受けた古樽を使用するなど、随所にこだわりが見られます。

当主が語る各キュヴェの魅力

テイスティングしたのは以下のアイテム。

Brut Platine 1er Cru（ブリュット・プラティーヌ・プルミエクリュ）

日本のメディアでも「スタンダードクラスで圧倒的な品質」と称賛されたノン・ヴィンテージ。70％近くピノ・ノワールがブレンドされ、その特徴が明確に表現されています。

ニコラ「アペリティフに最適です。新鮮な果実の豊かさと、同時にピノ・ノワールのフィネスも感じられます。”Platine ”はプラチナの意味。プラチナの持つ澄んだ輝きがこのキュヴェのイメージにピッタリだと思って名付けました。」

Brut Nature Zéro Dosage 1er Cru（ブリュット・ナチュール・ゼロ・ドサージュ・プルミエクリュ）

コンセプトは食事に合うシャンパーニュ。ベースとなる2011年は熟度が高く、酸が低かった為に例外的にドサージュは無し。ブドウのピュアな味わいがクリーンに楽しめます。

ニコラ「焦がしたトーストの香り。通常はノン・マロラクティックである事が多いのですが、このキュヴェでは自然発生的にマロラクティック発酵が生じました。焼き栗のようなニュアンスもありますが、やはりマロラクティック発酵由来の複雑さがあります。繊細なバランスで、和食にもよく合いますよ。」

Grand Cru Bouzy Brut Rose（グランクリュ・ブージィ・ブリュット・ロゼ）

ブージィ産のピノ・ノワールとシャルドネをブレンド。自家製のブージィ・ルージュ（赤ワイン）を7％加えています。ボリューム感と、軽やかさを兼ね備えた秀逸なロゼ。

ニコラ「野イチゴなどの赤い果実の、摘みたての香りを追求しました。最初から最後までフレッシュな風味が続き、長い余韻も楽しめます。暑い日にテラスで飲みたくなるキュヴェでしょう？」

Les Chaillot Gillis Extra Brut 1er Cru 2011（レ・シャイヨ・ジリ・エクストラ・ブリュット 2011）

エキュイユ村にある”シャイヨ”と”ジリ”という2区画のシャルドネを使ったブラン・ド・ブラン。樹齢約50年。樽で醸造、バトナージュも行います。リッチで凝縮感のあるスタイル。

ニコラ「周囲にはピノ・ノワールが植えられている特殊な区画。シャルドネの自然なミネラル感はもちろん、どこかピノ・ノワールのような芳醇さもあります。ドサージュ・ゼロによりブドウの純粋さが出た面白いキュヴェになりました。」

Les Francs de Pied Extra Brut 1er Cru 2008（レ・フラン・ド・ピエ・エクストラ・ブリュット 2008）

シャンパーニュでは非常に珍しい接ぎ木なしの自根ピノ・ノワール（ヴィーニュ・フランセーズ）から造られる希少なブラン・ド・ノワール。樽での醸造を行い、ノン・フィルターで仕上げられています。

ニコラ「特別なブラン・ド・ノワール。デキャンタージュしても、味わいの変化が楽しめますよ。フルーツのアロマの他に、時間が経つとキノコや腐葉土などの多彩な香りが出てきます。 2008年は素晴らしいヴィンテージで、長期熟成のポテンシャルも高いです。」

すべてはワインが決める

栽培、醸造においてテロワールに忠実であろうとするニコラ・マイヤール。何度も試飲を重ね、ドサージュの量やデゴルジュマンの時期など、その都度きめ細やかに決めているそうです。

「常にワインに聞いて決めています。」と語ったニコラの言葉に、彼の弛まない努力、真摯な取り組みのすべてが表れていると感じました。