グランクリュ・アンボネイの魅力を凝縮したアンリ・ビリオのシャンパーニュをいよいよ試飲。自然を尊重したそのスタイルは純粋さに満ちていました。

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グランクリュ・アンボネイ　キュヴェ・トラディション

ピノ・ノワール75％＋シャルドネ25％。3ヴィンテージ分のワインをアッサンブラージュしています。今回試飲したのは2015年（50％）、2014年（25％）、2013年（25％）の構成でした。

まずその香りの芳醇さにウットリしてしまいます。リンゴや白桃、蜂蜜、トーストと多彩なアロマが広がります。ふくよかでありながら酸を備えた果実味は、アンボネイのピノ・ノワールの特徴を的確に表現しています。力強さだけでなく、ミネラル感、ほんのりとしたビターさがあり、余韻が繊細に残ります。

レティシアさん「ピノ・ノワールとシャルドネ、共にアンボネイの特徴を表現しています。この村のシャルドネは、コート・デ・ブラン地区とはまた別の良さを持っています。ピノ・ノワールと同様、フルーティーでしっかりとした味わいです。」

グランクリュ・アンボネイ　ブリュット・ロゼ

ベースとなるシャンパーニュ（ピノ・ノワール75％＋シャルドネ25％）に24ヶ月程樽熟成させたアンボネイ産の赤ワインを6〜11％ブレンド。

アンボネイ・ルージュの存在感を主張するようなイチゴやフランボワーズなど赤い果実のアロマが愛らしく、熟れた洋梨などの風味に細かい酸とタンニンが綺麗に調和しています。

時間と共にグラスの中で香りがより開いていくようで、原料ブドウのクオリティの高さを感じました。良年にのみ生産すると言う取り組みからも、このロゼが如何に品質にこだわって造られているかが分かります。

グランクリュ・アンボネイ　ミレジム　2012

セパージュ比率はピノ・ノワール70％＋シャルドネ30％。アンボネイの魅力をより伝えるためにアッサンブラージュはヴィンテージによって多少調整しているそうです。4年以上の瓶内熟成を経ており、香り、味わい共に上質な熟成感が現れています。

アプリコット、焼き菓子やブリオッシュ、バターなど豊かなアロマが広がり、滑らかでフルーティーなフレーバーにはミネラル感とシャープな酸がもたらすエレガントさがあります。ドサージュ6g/L。複雑味とフレッシュさのバランスが見事。

グランクリュ・アンボネイ　キュヴェ・レティシア

説明をしてくださっているレティシアさんのお名前を冠した特別なキュヴェ。ソレラシステムによるヴァン・ド・レゼルヴを継ぎ足して造る限定品です。

現在のキュヴェは1983年〜2014年分のヴァン・ド・レゼルヴを使用。この日テイスティングしたのは60%シャルドネ+40％ピノ・ノワールのアッサンブラージュでした。

およそ30年分のヴァン・ド・レゼルヴが多層的な風味をもたらし、繊細で洗練されたスタイルを生み出しています。柑橘類、リンゴ、白い花などのアロマにビスケットのニュアンス、その他にもナッツ、シェリーなど実に多彩。それぞれの香りが独特のハーモニーを生み出し、長い余韻を残します。

チャンスがあれば是非飲みたい希少品、キュヴェ・エソンス

今回希少品すぎて試飲は叶わなかったのが、2012年に初リリースした新しいキュヴェ・エソンス（年産500本！）。写真の一番左のキュヴェです。チャンスがあれば是非飲みたいこのキュヴェは、アンボネイ産ピノ・ノワール100％のブラン・ド・ノワールです。

こちらはアンリ・ビリオこだわりのノン・マロラクティック、ノン・フィルターに加えてノン・コラージュ、ノン・ドサージュと限りなくナチュラルに作り上げた至高の1本。現在は2014年キュヴェを準備中との事でしたが、徹底的に自然な方法で醸造するので時間がかかるそうです。次回のリリースを楽しみに待ちたいと思います。

日本では漫画”神の雫”に登場した事で一躍有名になったアンリ・ビリオですが、ドメーヌを訪問して心を打たれたのは控えめなほど堅実で真摯にシャンパーニュ造りに取り組む姿でした。家族から受け継いできた伝統を守りながら、レティシアさんの柔らかな感性も感じさせる素晴らしいシャンパーニュを是非お楽しみください。