この度、初来日となった「シャンパーニュ・マルゲ」当主ブノワ・マルゲ。

当店でも、もっともオススメする造り手の一人であり、セロス、プレヴォー、コラン、ジェスタンと数年以内に並ぶと評されるほどの存在です。
いまのところ、マルゲの実力を知る人の数は、まだ“幸せな少数”に限られています。

今回はマルゲの来日セミナーからエッセンスの一部をご紹介します。

ドサージュゼロ。画期的な次元のシャンパーニュを造るマルゲの想い。

「ドサージュ（補糖）を1グラムでも入れるとワインの性質が変わります。
シャンパーニュとは味付け（ドサージュ）された料理のようなもの。
私が造るものはシャンパーニュではなく"ヴァン・ド・シャンパーニュ”です。」

ビオや有機栽培の考え方に情熱を注ぐマルゲのシャンパーニュはドサージュが入っていません。
栽培のミスはドサージュで取り戻すことが出来る。ドサージュゼロを造るためにはパーフェクトな栽培が必要だと言います。

有機栽培への転換。奇才エルヴェ・ジェスタンとの出会い。

1870年創立の歴史あるドメーヌの5代目であるブノワにとって、有機栽培に転換することは大変な困難を伴いました。

2004年にデュヴァル・ルロワ社でシェフ・ド・カーヴ(醸造長)を務めていた著名な醸造コンサルタントでもあるエルヴェ・ジェスタンを訪ねました。
以来、栽培・醸造の両面でエルヴェに導かれながら、新たな道に開眼し、2006年から本格的に二人の共同作業が始まりました。

古いネゴシアンを経営する夫人の両親の猛反対と、マルゲ家内や親戚の反対を受け、夫人との離婚にまで発展しました。にもかかわらずブノワは、あえて、売り易いが個性や品格に欠ける凡庸なシャンパーニュ作りを脱し、新たな可能性に向かって強く前進し始めます。

ブノワ・マルゲのブドウ栽培

ワインは神聖なもの、ブドウは天のエネルギーと地中からのエネルギーをブドウに集約すること。その産物を受け入れることが大切と考える。
ブノワの役割はそれがワインになる支えをすること。ワインは味覚を楽しむためだけのものではなく、ワインは同様にメッセージ（自然の）を運んでくれるものでもある。そして畑、土壌、天、全ての部分にメッセージは込められていると言います。

醸造のやり方は数学的（数値的）なものではなく感覚的な部分も多くある。

ワインの表情、生産者の心が宿るというところは確実でそれを覆すということは自然に反する。気をつけていることは常にエネルギーの破調に意識をすること。

テイスティングに移り、まずはスタンダードキュヴェであるシャーマン13の高いレベルの味わいに驚かされます。熟したリンゴの香りと凝縮したピュアな果実味、価格から想像できないほどの力強く純粋な味わいです。

さらに、各キュヴェの味わいはヴィンテージによっても異なります。ドメーヌのスタイルを追求するのではなく、テロワールのあるがままを受け入れて造るためです。栽培や醸造も毎年フィーリングで変えていると言います。

マルゲのシャンパーニュは一度飲むことで、長い困難を伴ったブノワの情熱がワインとなって結実している事がはっきりと感じられます。今、絶対にチェックして頂きたい生産者のトップであることに間違いありません。

世界の注目が、ブノワ・マルゲのシャンパーニュに寄せられています。