シャンパーニュの中でも最高峰のシャルドネが生まれるコート・デ・ブラン地区。その最北の特級シュイィ村に畑を持つルノーブルを訪問しました。

特級シュイィ村のシャルドネを基軸にした品質重視の家族経営メゾン

1920年から家族経営を続けるルノーブル。コート・デ・ブラン地区の最北シュイィ村に10ha畑を所有しており、シャルドネのみを植えています。このシャルドネが多くのキュヴェに使われるメインのブドウです。

「シャンパーニュは、畑でつくらるブドウ自体の質が重要。次に重要なのは、どういった仕事をするかということ。」

ル・ノーブルの畑の土壌は柔らかくふっくらとしています。これは、耕してあるため、ブドウが養分を多く吸収出来るそうです。そのため、化学肥料も必要ありません。隣接する他の栽培家の畑と比べても土の柔らかさが全く違いました。
また、ミツバチの巣を置くなど、畑の自然の多様性を大切にしています。ハチミツも販売しているそうです。

家族経営ならではの型にはまらない柔軟な醸造

家族経営のメゾンには大きな利点があります。それは経営者から意見されることが無いという事です。そのため、ル・ノーブルでは決まった醸造方法は無く、型にはまらず毎年柔軟に造り方を変えていきます。それは、毎年得られるブドウが同じではないから。

原酒の多くはフードル（大樽）で熟成されます。これは樽香のためというより、ほどよく空気が通る事で複雑味を出すためです。

熟成を重視し、スタンダードキュヴェのアンタンスでも最低3年経ってからリリースされます。

「特級シュイィ村」の柔らかな酸が支えるフレッシュ＆エレガンスのスタイル

スタンダードキュヴェ「アンタンス」から。ふくらみがある味わいで、ル・ノーブルのスタイルであるフレッシュ・エレガンスが感じられます。

ブリュット・ナチュールもアンタンスと同じく広がりのある果実味がしっかりと感じられ、言われなければナチュールと分からないほどでした。とても繊細で、和食にもよく合いそうです。

その他各キュヴェでも通してル・ノーブルのフレッシュ・エレガンスのスタイルがしっかりとあり、華やかで柔らかく繊細で一貫性のある味わいです。フルーティーで親しみやすい多くの人に好まれる味わいで、その一貫性から、一つのキュヴェが気に入ったら全てのキュヴェを楽しめるように思いました。

特別にミレジメ1996（フルボトル）と、特別に1973（マグナム）を出して頂きました。 とても良い状態で1973年でも酸化による嫌なニュアンスが全くなく、熟成感と濃厚な蜂蜜のような味わいです。熟成した高級なブルゴーニュ コルトン村のグラン・クリュクラスの味わいに感じられ、これほどの長期熟成に耐えうるブドウの質の高さに驚きました。

今回の訪問でシュイィ村のシャルドネの個性がとても興味深く感じられるようになりました。 繊細で柔らかなシュイィ村のシャルドネをぜひご堪能ください。