シャンパーニュ・マイィ グランクリュの経営責任者グザヴィエ・ミラール氏にご来社いただました。
当店でも定番の人気メゾンとなっているマイィの特徴と魅力を、グザヴィエ氏から改めてご紹介します。

シャンパーニュ地区に存在するクリュ（村）は319。
そのうち最高の格付を持つグランクリュは、僅か17のみ。
モンターニュ・ド・ランスに位置するマイィ村は、その貴重なグランクリュの1つです。

グランクリュ名を名前に冠する唯一の協同組合

ご紹介する【マイィ・グランクリュ】は、村の名前をそのままブランド名に冠しています。 現在はAOC（原産地統制名称）をブランド名に名乗る事は禁止されています。マイィ・グランクリュはAOCシャンパーニュが誕生するより以前に設立していた為、例外的に名称利用を認められています。

マイィ・グランクリュは1929年に創設されました。 マイィ村のブドウ農家が集まって出来た協同組合で、当初は15軒の農家が参加。 3〜4代目にあたる現在は、25軒のファミリーによって構成されています。

マイィ村全体のブドウ畑が約280ha。大手メゾンが半分近くの畑を保有している中で、70haはマイィ・グランクリュが所有しています。 グランクリュでこれだけの規模の自社畑を保有しているのは、マイィだけと経営責任者のグザヴィエ・ミラールさんは語っています。

マイィ・グランクリュが持つ独自性

さらにグザヴィエさんは、マイィ村の特徴として、グランクリュの中でも東西南北に畑を持っている事をあげています。土壌の性質、日照の違いがもたらすワインの個性がマイィのシャンパーニュに複雑さをもたらします。

栽培比率はピノ・ノワール75％、シャルドネが25％。 その土地に合わせた品種を栽培しており、25のファミリーが育てる全てのブドウを使ってシャンパーニュを造り上げます。

特に北、北西向きの斜面が多く、エレガントな魅力を持つ上質なブドウが得られます。 またモンターニュ・ド・ランスで西側にあるマイィ村では、西日がゆっくりと差します。 村の人々は、『マイィでは、フレッシュなピノ・ノワールと、パワフルなシャルドネが育つ』と言っているそうです。

また土壌もユニークで、多様性を備えています。氷河期に山の上部が崩れて流れたことで、石灰岩の上に粘土質や砂質などの異なる土壌がパッチワークのように広がっています。 畑は35のリューディ（小区画）に分類され、それぞれの区画毎に収穫と発酵、貯蔵。 マイィ・グランクリュでは、農業の専門家である社員を雇い、日々畑を回り、各農家とコミュニケーションを取りながら、情報共有やアドバイスを行っています。

優れた人材が支えるマイィの品質

現在、このスペシャリストの職を担うには、20代の女性エリス・モリールさん。 若い感性を活かした優秀な彼女の仕事ぶりに、グザヴィエさんも太鼓判を押しています。 受け継いできた伝統を重んじるだけではなく、新しい人材、アイデアも取り入れるこの協同組合の柔軟さが表れています。

マイィ・グランクリュの高品質さを支えるのは、恵まれたテロワールだけではなく、所属する人々それぞれの熱心な働きぶりのようです。 25の農家は決められたルールに沿って、毎日真摯に仕事を進めます。 それぞれの畑を回るエリスさんはブドウの日々の生育状況を把握し、最適な収穫時期を相談しながら決めています。

働く人々の丁寧な手仕事から生まれるマイィ・グランクリュのシャンパーニュ。 シャンパーニュ造りに必要な熟成用カーヴもブドウ農家が自らの手で掘ったというから驚きです。冬の間に懸命に掘り進めた地下20メートルのカーヴは、36年の時間をかけて、ようやく完成しました。

この手造りの地下カーヴには、約4年分、150万本以上のシャンパーニュをストックしています。上質なシャンパーニュ造りにおいてリザーヴワインの存在も重視しており、10〜12年分を保有しています。大樽にはソレラ方式で継ぎ足された10年分のリザーヴワインが保管されています。 ワインのタイプ別に樽やステンレスタンク熟成を行い、リザーヴワインを絶妙にブレンドする事で深みのある、豊潤なマイィ・スタイルのシャンパーニュが出来上がります。

グザヴィエさんは次のように話してくれました。
『マイィ・グランクリュでは、ブドウ畑とワインを密接に結びつけたいと考えています。 組合では、定期的にブドウ農家が集まって試飲しています。収穫時期には全員でパーティーをしてお祝いもします。25のファミリーが団結して、マイィのシャンパーニュを造っているのです。』