家業に新しい風を吹かせる新世代女性グローワー

プティット・モンターニュ・ド・ランス最南端の村、セルミエに本拠を置く新世代の女性グローワー、ペリンヌ・フレヌ。1990年生まれのペリンヌは子供の頃から父親のブドウ栽培を手伝って育ちました。

セルミエでは協同組合が大部分を占めるなかで、元詰めグローワーは父を合わせてわずか2軒のみ。長年元詰めを行っていたその数少ないグローワーの一人である父ルネ・フレーヌ(RenéFresne)も2019年に引退することになり、家業を絶やしたくないという想いからドメーヌの継承を決意したのです。

当初は別の分野のことを学んでいたペリンヌでしたが、アヴィズでワインマーケティングの学位とドメーヌ経営の学位を取得。その後、ノミネ・ルナールのオフィスで5年間働きながら、WSETのLevel2とLevel3を取得。醸造に関しては、独学で学び、別のグローワーで輸出マネージャーをしているパートナーのケヴィン、そして父の手助けを受けながら、ほぼ一人でドメーヌを運営しています。

父から畑だけでなく、ブドウ栽培の情熱と知識を受け継いだペリンヌは、家業に新しい風を吹かせたいという想いから、父とは異なる独自のプロジェクトとして自分名義のシャンパーニュを造ることを決断しました。

セルミエのテロワール

ペリンヌが所有する畑はわずか2.98ha。その大部分の2.72haがセルミエにあり、残りの0.26haは隣村のヴィレール・オー・ヌー(Villersaux-Noeuds)にあります。どちらの村もプティット・モンターニュ・ド・ランス地区の北向き斜面の涼しい場所にあるプルミエ・クリュで、森に覆われた台地と呼ぶにふさわしい丘陵の斜面にブドウ木が栽培されています。

セルミエのテロワールは、気温が低く、白亜の母岩に砂と粘土の表土の軽い土壌であるため、特にムニエの栽培比率が高いのが特徴です。ドメーヌの栽培品種はムニエ1.46ha、ピノ・ノワール1.03ha、シャルドネ0.49haで、11のリュー・ディの26の区画に細分化されています。

栽培に関しては、父から畑を継承した後すぐに農薬の使用を止め、ビオロジックに転換。 畑では、ビオディナミのアプローチを含めて、様々なテストを行いながら、将来的により自然な栽培方法へと進化できるように試行錯誤しています。

認証に関しては、認証機関やその過度な制限に縛られたくないため、取得するつもりはないというこだわりです。現在、栽培ブドウの2/3はメゾンに売却し、その年の厳選した最上の出来の1/3の収穫ブドウのみをドメーヌで醸造しています。

ペリンヌが目指すシャンパーニュ造り

特にアヴィズのエティエンヌ・カルサックのシャンパーニュから多くのインスピレーションを受けたペリンヌは、「女性的なアプローチでセルミエのテロワールを表現した“グランヴァン”と呼べるシャンパーニュを造ること」を目標に掲げています。

デビュー・ヴィンテージとなるキュヴェは、セルミエの村へのオマージュとして、セルミエのブドウ100%というテロワールが詰まったキュヴェ。販売開始直後から欧州各国のインポーターで争奪戦が始まったほどの過熱ぶりでした。

今後は、隣村ヴィレール・オー・ヌーのブドウによるキュヴェや、セルミエのムニエ100%のキュヴェなど、続々とリリースになる予定です。
最新鋭の女性グローワーが手掛けるシャンパーニュ、ご期待下さい。