自然と共生するビオディナミ栽培のこだわり

プティット・モンターニュの村、セルミエに拠点を置くエミリアン・フヌイユは、たった2.37haの畑を耕すヴィニュロン。父の後を継いだ2006年当初はブドウ売りが中心でしたが、ビオディナミの巨匠ピエール・マッソンとの出会いが転機となりました。以来、畑や自然と深く向き合う栽培に没頭し、2015年には大親友オーレリアン・ルルカン、トマ・ペルスヴァルに触発され、自身の名で瓶詰めを開始。2020年に初リリースされたワインは、瞬く間に世界中のシャンパーニュ愛好家を魅了しています。

野生児と呼べる風貌のフヌイユのワイン造りは、常に「自然のままに」が軸です。畑では除葉やグリーンハーヴェストを行わず、野花や雑草、木々と共にブドウを育て、健全な生態系を維持します。

収穫は早朝の涼しい時間に手摘みで行い、圧搾にはバスケットプレスを使用。醸造は野生酵母による樽発酵と熟成で、冷却安定や澱引き、清澄、濾過は行いません。SO2も必要最小限、あるいは無添加。リキュール・ド・ティラージュにはビオ認証MCRのみを使用し、全てのキュヴェがノン・ドザージュです。

エミリアン・フヌイユのヴィニュロン哲学

畑はセルミエ、シャムリー、エキュイユに広がり、ピノ・ムニエ、シャルドネ、ピノ・ノワール、プティ・メリエを栽培しています。表土は砂質・マール・粘土で構成され、白亜質のチョーク層が基盤にあります。セルミエの語源「サルム」は’’塩分を含む土壌’’を意味するように、ワインにミネラルと塩味をもたらし、その味わいは土地そのものを映し出します。

エミリアンはこう語ります。
『私はヴィニュロンであることを誇りに思います。ヴィニュロンはブドウを通して作品を作ります。力強く、抵抗力があるブドウは、とても繊細でもあり、人間と常に密接な関係を持ち、世界のいたるところに根をおろしてきました。私はブドウ栽培の文化と自然との関係が大好きです。ブドウは、地中にしっかりと根を伸ばし、螺旋状に伸び、つるで巻き付きます。まるで探検家です。星に向かって伸びるブドウは、私に地に足を付けていることを、そして目に見えないものを知覚することを可能にしてくれます。それは大地、あるいは芸術でしょうか？いやこれこそがテロワールなのです!』