’’一流ソムリエを迎えて上級キュヴェを試飲’’ ビルカール・サルモン来日セミナー
「ビルカール・サルモン」より、6代目当主で現在は副ディレクターを務めるアントワン・ローラン・ビルカール氏が来日。上級キュヴェを試飲しながら、貴重なお話を伺う事ができました。
『ビルカール・サルモンで何よりも大切でユニークな点は家族経営であることです。その事実が私達のブランドの強みであると言えます。創業者のニコラ・フランソワは自分のひ孫が200年後に大阪でビルカール・サルモンのセミナーをしているとは思ってもいなかったでしょうね。』
ユーモアたっぷりのアントワーヌさんが最初の挨拶でコメントされていました。
ビルカール・サルモンのスタイル
アントワーヌさんが語ったビルカール・サルモンのスタイルを表す次の3つの言葉。
- フルーティー
- フレッシュネス
- エレガント
果実味があり、フレッシュで、エレガントである。これらの特徴をしっかりと表現していくためにブドウ栽培からワイン醸造まで、非常に正確な仕事を各プロセスで行っていく事が大切であると彼は述べています。
ビルカール・サルモンで特徴的なのは、プレスをする前に収穫したブドウを冷やすという一手間を加えていることです。16〜18℃の温度で保たれるブドウは暑さや熱でダメージを受けずに、ストレスのない状態で圧搾ができます。冷やすという工程は糖度の調整においても重要であると、メゾンでは考えています。
プレスの際はさらに5〜6℃程度に冷やした状態を保ち、低温のデブルバージュを経て、ピュアなジュースが得られます。次いで、ステンレスタンクによる長期間の発酵へ。発酵室には温度管理された小型タンクがあり、ブドウ種と区画に合わせた低温発酵が行われます。温度は常に14℃を超えないようにキープし、3週から5週にかけてゆっくりと発酵します。
アントワーヌさんのお話から徹底した温度管理への意識が感じられ、メゾンが大切にしているフレッシュな酸の存在感、ビルカール・サルモンのシャンパーニュに一貫する繊細さはこういったこだわりに裏付けされたものであるようです。
上級キュヴェを試飲、一流ソムリエによるコメント
今回のスペシャルゲストである、日本を代表するソムリエの一人、ザ・サウザンド京都の岩田 渉氏による各キュヴェの魅力の解説を聞きながらのテイスティングへ。
ブリュット ブラン・ド・ブラン グランクリュ
アントワーヌさん
『上質なシャルドネを上品に表現するのが、私達のブラン・ド・ブラン。このキュヴェで最も重要な役割を果たすのがアヴィーズのシャルドネです。その他のグランクリュに比べても果実味がとても豊かです。複雑性があってストラクチャーがしっかりとしているのがメニルのブドウ。ノンヴィンテージでは少量のみを使います。クラマン産は酸が豊富で、良い意味での緊張感をワインにもたらしてくれます。シュイィは石灰岩が生み出す塩気が持ち味です。長期のシュール・リーや50ヶ月以上の熟成が生み出す果実味や旨みを隠さないように、ドサージュは極めて少ない量にとどめています。』
岩田さんの巧みなテイスティングコメント
『こちらのブラン・ド・ブランは、低温発酵ならではの特徴がよく出ています。フルーツのキャラクターが非常に引き立っていて、洋梨や白桃などのピュアな果実のアロマに、ほんのりとレモンのコンフィチュールのような柑橘の香りも。ビルカール・サルモンらしい複雑性もあり、サワークリームなどの乳製品、長い熟成によるブリオッシュのような軽やかな香ばしさが調和。そこにチョーク的な鉱物系のニュアンスが入り混じり、コート・デ・ブラン特有のシャルドネらしさがあります。
非常に繊細で上品な口当たりで、クリーミーで滑らかな質感。輪とした酸の印象と、それを優しく包み込むようなドサージュのバランスが素晴らしく、一体となって余韻にまで続いていきます。心地よい味わいの中に酸がもたらすストラクチャーやテンションが感じられます。4つのグランクリュの特徴があって、コート・デ・ブランのテキストブックのようなスタイルを保ちつつ、フルーティーさ、フレッシュネス、エレガンスが表現されています。』
ブリュット スーボワ
アントワーヌさん
『スーボワでの樽醸造に何を求めているのか?それは樽からもたらされる若干のスパイシーさやバニラ感、トースティな要素です。新しいシャンパーニュですので色々と試行錯誤がありましたが、とてもユニークなキュヴェになったと思います。樽の使い方は人それぞれ異なりますが、私達は新樽から来るタンニンは必要ないと思っていて、基本的には旧樽を使用しています。』
岩田さん
『まず木樽についてですが、スティルワインの世界では特に新樽の比率を下げて、ニュートラルな容器を使っていく流れが見られると思います。個人的にはシャンパーニュにおいては逆にビルカール・サルモンのように木樽を用いる生産者が少しずつ増えているような印象があります。新樽ではなく、古い樽を使うことでスパイスやセイボリーなエッセンスをほんのりとワインに加えてくれます。スーボワではそういったキャラクターをしっかりと出しながらも、緻密な醸造テクニックにより明るくてピュアなフルーツな風味も保持しています。
黒ブドウ由来の果実、アプリコットやミラベルといったストーンフルーツの凝縮した香り。そこにベーキングスパイス、ほのかなスモーク、オレンジゼストが加わります。大きめのグラスの中で少しずつ温度が上がっていくと、このキュヴェの特徴的なクリスマススパイスやパン・デピスのような香りを感じます。これがまさに樽によってもたらされる奥深さで、さらにブリオッシュなどの要素が加わり、非常にスケールの大きさを感じる事ができます。奥行きのある複雑な香りに対し、味わいはフレッシュな酸の質感により力強さを感じます。ブドウ本来の自然なストラクチャーが際立つと共に、黒ブドウ由来の心地よい軽やかな苦みがコクを与えています。クリーミーな泡がそれらを優しくハイライトしていて、余韻もとても長い。
お料理を合わせたくなるようなワインで、ビルカール・サルモンらしい軽やかさ、フレッシュさが奥深い味わいに絶妙にマッチしています。これからの季節にピッタリなクリスマススパイスの香りもあり、秋冬にお客様へオススメしたくなります。』
ブリュット ロゼ
アントワーヌさん
『樹齢の古いピノ・ノワールから造ったコトー・シャンプノワをブレンドしている事がキーポイント。セパージュ比率はシャルドネが一番多く、ブラインドで飲んでいただくと、99.9%の方がロゼだと当てられないと思います。赤ワインからのフルーツ感は欲しいので、非常に収量の少ない古樹から凝縮した果実を収穫しています。ビルカール・サルモンのロゼにおいて、ブレンドする赤ワイン自体の品質の高さはとても重要です。フレッシュ感を楽しんでいただきたいので、市場に出してから30ヶ月くらいで飲んでいただくのがベストだと思っています。』
岩田さん
『他のメゾンとは一線を画すようなスタイルのロゼだと思います。通常は熟成期間を長くしたりして、芳醇でより複雑な香りを出すようなタイプが多い中で、こちらは軽やかでチャーミングな印象。繊細な赤いフルーツが、デリケートに溶け込んでいるキュヴェで、赤いリンゴや桃の香りに、ほんのりとクランベリーやラズベリーのアクセントがあります。40%近くの比率を占めるシャルドネがもたらす柑橘類のニュアンスが入ってきます。
スパイシーさやセイボリーな側面はあまり強くなく、フルーツのピュアさとフレッシュネスというのが全面的に香りでも感じられます。酸度も高く、絶妙なドサージュによってバランスが整えられています。とてもクリーミーでコクがあり、ミッドパレットから余韻にかけてロゼらしい強さが少しずつ表れます。上品かつしなやかな味わいのロゼ・シャンパーニュだと思います。』
ルイ・サルモン ブラン・ド・ブラン 2012
アントワーヌさん自らがデキャンタージュをしてから、サービスされました。
アントワーヌさん
『2012年は非常に涼しい年でした。私達にとっては、造りたいシャンパーニュに適していました。ヴィンテージ・シャンパーニュを造る意味とは、その年の特徴を最大限に表現するということにあると考えています。
メニル・シュル・オジェのシャルドネを最も多く使い、複雑性をキュヴェにもたらしています。アロマを広げて、もう少しオープンにした状態にするためにデキャンタージュをしました。シャルドネ、ピノ・ノワールを使ったヴィンテージ・シャンパーニュに関しては、私はこのように、よくデキャンタージュをしています。』
岩田さん
『最初に試飲したノン・ヴィンテージとブラン・ド・ブランに比べて、奥行きや深みが一層増しているように感じます。フルーツの凝縮感にも、黄色系果実や柑橘類のキャラクターが出ています。マンダリンのコンフィやレモンチップ、洋梨のコンポートなどのフルーツ感があり、一部木樽を使っていることによりバニラビーンズなどのスパイスのアクセントが感じられます。ここにレモンブロッサムの華やかさが加わり、チョーキーなニュアンスも香りに出ていますが、味わいはまさにビルカール・サルモンらしいスタイル。
これだけディテールに溢れるフレーバーでありながら、独特な軽やかさや透明感がよく表れています。通常であれば、これだけ色々な要素があると重心が低くなりがちなのですが、複雑なワインなのに不思議とたくさん飲めてしまい、飲み疲れしません。クリーミーな口当たり、シトロン、アーモンドビスキュイから、シュー生地のような香ばしさが非常に長い余韻を残していきます。若いヴィンテージながらすでに完成されています。』
エリザベス・サルモン ロゼ 2012
アントワーヌさん
『なぜヴィンテージのロゼでは、ムニエを使わないのか?それは、ビルカール・サルモンではムニエは長期熟成には向かないと考えているからです。ムニエは素晴らしい品種ですが、色々試した結果、若い時の方が本領発揮するブドウだという結論に至りました。
2012年は醸造に少しオーク樽を使用しましたが、基本的にはステンレスタンクで仕上げるスタイルです。先に試飲したキュヴェ同様に低ドサージュですが、これは流行に合わせているわけではありません。これだけの品質を持つワインをわざわざドサージュで隠す必要がないからです。』
岩田さん
『約10年、瓶内でゆっくりと熟成されているにも関わらず、非常にフレッシュな味わい。ビルカール・サルモンの伝統と革新、色々なテクニック技術が表れたキュヴェだと思います。ブリュット・ロゼに比べると、明らかに黒いフルーツ、赤いベリーのキャラクターが出ていて、よりロゼらしさを感じます。ジューシーな香りだけでなく、薔薇やスミレの花、ほんのりとオレンジビターズやシャンパーニュ地方で有名なビスキュイ・ローズのような甘い焼き菓子の香りも出てきています。程よい強さのある味わいで、フルーツの凝縮感にほのかな苦みが奥行きを与えています。
これだけのフレッシュさを保持しながら、長い余韻があり、飲み頃がいつになるんだろうなと思うほど、将来を約束するような高いポテンシャルを持ったシャンパーニュ。これだけ緻密で複雑、精巧なシャンパーニュですので、メインディッシュに合わせる、ガストロノミックなキュヴェだと思います。』
神は細部に宿る
今回のセミナーで、ビルカール・サルモンが家族で受け継いできた伝統を重んじながらも、柔軟な精神で新しい技術と取り入れたシャンパーニュ造りを行っている事を学びました。
メゾン独自のスタイル、美しさを支える、ブドウの品質や温度管理などの妥協なき取り組み。「神は細部に宿る」という有名な言葉が浮かびました。 ディテールにこだわったビルカール・サルモンの芸術的なシャンパーニュを是非お楽しみください。
ビルカール・サルモン ブリュット ブラン・ド・ブラン 【ギフトボックス】
5つのグランクリュよりシャルドネを厳選。豊かなフルボディの味わいを楽しめる理想的なブラン・ド・ブラン。
オーク樽で発酵・醸造を行った異色キュヴェ。豊かな風味を名門ならではの気品たっぷりに表現しています。
フランスの有名ワイン雑誌において、最高評価を受けた確かな品質。偉大なフォネスを伴った美しいロゼ・シャンパーニュです。
ビルカール・サルモン キュヴェ ルイ・サルモン ブリュット ブラン・ド・ブラン 2012
コート・デ・ブランのグラン・クリュのシャルドネを100%使用したピュアさとミネラル感溢れるブラン・ド・ブラン。
創始者の妻であるエリザベス・サルモンへのオマージュとして1988年に誕生。 厳選された極上のシャルドネとピノ・ノワールを使用した至福のロゼ
営業日のご案内
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