ピノ・ブラン主体のシャンパーニュに挑戦

戦後まもなくオーブの一部の栽培家はピノ・ブランを植えました。この品種には白コショウやミントのような官能的な香ばしさがあり、長らく”隠し味”としてブレンド用に用いられてきました。

20世紀終わり頃、樹齢が50年を超えポテンシャルが十二分に開花したことで、ピノ・ブランをより主体的に使う生産者が登場。その中でもデュフールが代表的な存在です。

1999年から他に先駆けてピノ・ブラン100%のキュヴェを造りはじめたイヴ・デュフールは 当初、シャンパーニュ愛好家に細々と紹介されていました。「オーブのピノ・ブラン」として世界中に発信し始めたのは、息子のシャルルに世代交代してからとなります。

熱意溢れるシャルルの飽くなき挑戦

独学でシャンパーニュ造りを習得した若き当主シャルル氏は、2007年からはすべての畑でビオロジー栽培とビオディナミを実践し、2010年、「エコセール」の認証を取得すると同時に100%ビオディナミへと転換しています。

有機栽培にこだわり、テロワールの表現を追求するシャルル氏。醸されるシャンパーニュは自然酵母での発酵を徹底管理し、澱と共に熟成後ノンフィルターで瓶詰めされています。

「表現者」という言葉がよく似合うシャルル・デュフールの作品は、音楽に例えるなら美しいジャズバラードのような、官能と深い精神性が感じられるものです。