100年に30数ヴィンテージのみ　孤高の存在を貫くシャンパーニュメゾン

サロンは数多あるシャンパーニュ･メゾンにあって、孤高の存在です。

クリュや品種のアッサンブラージュが原則の世界にあって、メニルのシャルドネにこだわり、単一クリュ、単一品種、単一ヴィンテージのシャンパーニュのみを生み出し続けてきました。

すべての条件が揃った類まれなる年にのみリリースされるため、これまで世に出たのは一世紀の間に30数ヴィンテージだけです。

ミネラルたっぷりのシャルドネは長期間の瓶内熟成を経ることで、他のいかなるシャンパーニュでも再現不可能な、エレガントかつパワフル、複雑にして生き生きとした、奥深い風味がもたらされます。

サロンは最低でも10年の瓶内熟成を経てようやく出荷するという独自のスタイルをかたくなに遵守しています。

サロンの歴史は、独特のスタイルのシャンパーニュを造り上げた完璧主義者の物語

サロンを創業したのはウジェーヌ･エメ･サロン。毛皮商であった彼は、シャンパーニュに惚れ込むあまり、自らの手でシャンパーニュを造ることを決意。しかも、至高のシャンパーニュを目指すため、コート･デ･ブランのグラン･クリュ、ル･メニル･シュール･オジェ村のシャルドネのみを用い、単一収穫年のミレジメとしました。ウジェーヌ･エメが生み出したこのシャンパーニュこそ、ブラン･ド･ブランの嚆矢であると。言われています。

もともと商品化が前提ではなく、自家消費と仲の良い友人にふるまうために造り出したので、不明な部分が多いのですが、彼のシャンパーニュが世に広まったのはなぜか。

それはウジェーヌ･エメからシャンパーニュを飲ませてもらった友人たちの間で評判が評判を呼び、やがてこれがマキシム･ド･パリのハウスシャンパーニュに取り上げられたことにあります。

当時のマキシムは社交界の中心であったため、世界中から最も舌の肥えた人々が集まっており、そうした紳士淑女に認められたことで、ウジェーヌ･エメ･サロンのシャンパーニュはコニサーの間で語られる存在になりました。