ピエリー村の志高き9人のブドウ栽培者で設立された協同組合

ヴァンサン・ダストレーは、1956年9月12日、現社長リュック・ピカールの父ガストン・ピカールをはじめとした村のブドウ栽培者9人によって設立されました。自分たちのブドウを普及させたいとの想いで9人から始まった団体でしたが、60年以上にわたってエペルネの南斜面で冒険が繰り広げられ、現在は180の生産者が高品質なシャンパーニュを造るために協力し合っています。

現在では、ムニエ、ピノ・ノワール、シャルドネがプルミエ・クリュの畑で丁寧に手入れされ、伝統と現代の醸造技術によって、ピエリー村のテロワールを反映させた、本物の豊かで多様なキュヴェが造られています。

人的介入を最小限にしテロワールを尊重

マルヌ渓谷の始まりとコート・デ・ブランの始まりの間に位置しているピエリー村は、素晴らしいムニエが育つ場所として、何百年もの間トップに立ち続けています。畑は基本的に白亜の下層土に、火打石を多く含む黄土の粘土が横たわっています。このテロワールによってワインには火打石のようなミネラル感を与え、次第に蜂蜜のアロマへと変化する、独特の味わいを生み出しています。

一番のこだわりは、原材料となるブドウがワインになり、ボトルで販売されるすべての過程においてブドウを尊重すること。そのために、ワインに与える醸造学的、機会的介入は最小限に抑えています。

アルコール発酵には厳選された酵母を、MLFには乳酸菌のみ加えます。ヴィンテージによっては、ワインのフレッシュさを保つために、MLFを行わないこともあります。ワインの保存に必要な亜硫酸塩も慎重に投与することによって調整されています。

環境に適応したシャンパーニュ造り

ブドウやワインの品質に与える影響として、昨今急激に進む地球温暖化は大きく関係してきます。実際、シャンパーニュは20年前と同じではなくなり、ますます酸は目立たなくなり、香りはより成熟したアロマに向かって進化しています。

その環境の変化に対処すべく、作業道具の改良が実施され、コカールと呼ばれる伝統的な木製のプレス機と、より効率的なツール（低温調整、醸造テスト）を組み合わせるなどの工夫がなされています。ワインは温度管理されたステンレスタンクで造られますが、醸造にはデミ・ミュイと呼ばれる大樽などが使われるのが特徴です。

ワインの新鮮さ、果実味、フィネスなどを維持するために、環境に応じて醸造方法を適合させていくフレキシブルなシャンパーニュ造りが行われています。