世界が奪い合う！新進気鋭のドメーヌ誕生

コート・デ・バール地区の最南端にあるバール・セカネは、新たな才能が続々と生まれている注目エリアです。2015年にラファエル・ピコネが創設したドメーヌ・ド・ビシュリーもそのうちのひとつ。

1987年生まれの若き当主ラファエル・ピコネは、ボーヌとスイスの学校で醸造とブドウ栽培を修めた後、スイスのドメーヌ・トラプレッティやボルドーのシャトー・パプ・クレマンで研鑽。その後、2013 年に両親から継承したブドウ畑を元に、妻のハンナとともにドメーヌを設立しました。

デビューヴィンテージは僅かに4,680本しか造られませんでしたが、既にヨーロッパ各地へ輸出されており、ミシュランの星付きレストランも購入を検討するなど、初リリースから既に世界のシャンパーニュ愛好家の間で争奪戦が繰り広げられています。

リュー・ディを表現するキュヴェ

ドメーヌ・ド・ビシュリーは、ヌヴィルジエ・シュール・セーヌと隣村のジエ・シュール・セーヌに点在する8 つのリュー・ディに区画を所有し、現在はリュー・ディを表現する3 種類のキュヴェのみが造られていますが、将来的にはそれぞれのリュー・ディに対応するキュヴェが造られる予定です。

シャンパーニュにおいて、特にネゴシアン・マニピュランのキュヴェは、常に一定の品質・味わいであるということを重視してワイン造りをしていますが、ドメーヌ・ド・ビシュリーでは『毎年同じシャンパーニュは生まれない』という哲学のもと、シャンパーニュ造りを行っています。主役はブドウとテロワールであり、その年の天候などの自然要因や、個性の多様性がシャンパーニュの品質に反映されると考えているため、単一年のブドウのみで醸造し、毎年個性の異なるシャンパーニュが造られています。

完全ビオロジックなブドウ栽培

現在の栽培面積は7haで、ピノ・ノワールとシャルドネの2品種のみを栽培しています。除草剤や殺虫剤などは一切使用しておらず、設立当初より完全なビオロジックでブドウ栽培を行い、近年中にエコサートの認証も受ける予定です。年に1回、全て手作業で全区画の雑草を取り除き、施肥に関しては、近所の農家から譲り受けた厩肥を10ヶ月かけて堆肥にし、各区画の状況に応じて撒く徹底ぶり。

毎日畑に出てブドウの状態を観察するのが大好きなピコネ夫妻は、観察に重きを置いているビオディナミにも大きな関心を持っており、調剤などのビオディナミ手法を試験的に導入することや、長期的にビオディナミに転換することも検討しています。