R＆Lルグラの当主、ジュリアン・バルビエ氏とステファニー夫人が来日、弊社にて社員向けセミナーを開催していただきました。生産者から直接伺った貴重なセミナーの内容をお伝えします。

上質なブラン・ド・ブランを生み出すネゴシアン

コート・デ・ブラン地区のシュイィ村に拠点を持つネゴシアン、R&Lルグラ。およそ200年前からブドウを栽培し、第2次世界大戦後の1950年代より自家元詰を始めました。シャルドネに特化した高品質なブラン・ド・ブランを生み出すのは、5haの自社畑と10haの契約農家を合わせた15haの畑。グランクリュのシュイィ村のブドウのみから年間で15万本が生産され、6割は輸出用、残りはフランス国内で消費されます。

世界の最高峰レストランのプライベート・ブランドを手がけてきた実力派

日本ではまだ馴染みの薄い同メゾン。その理由の一つが、プロフェッショナル向けのプライベート・ブランドを多く手がけてきた事にあります。1971年にトゥール・ダルジャンの先代オーナーであるクロード・テライユに気に入られ、同レストランのオリジナル・ラベルを造りました。

その後、アラン・デュカスやギィ・サヴォワ、ベルナール・ロワゾーなどのトップ・シェフに認められ、オンリストされるようになりました。フランス国内に留まらず、シンガポールの新たなランドマーク、マリーナ・ベイ・サンズホテルのハウス・シャンパーニュとして採用されています。

また、シャンパーニュ地方の三つ星アルノー・ラルマン氏のレストランでもハウスシャンパーニュとして採用されており、真のシャンパーニュとして認められた実力の高さが伺い知れます。

R＆Lルグラが数多くのプロフェッショナルに支持される理由とは？？

基本的な醸造行程の細部にこだわる

充実した醸造設備と伝統的な手法で醸し出されるR＆Lのシャンパーニュ。8,000kgまで処理できるプレス機を使用し、ステンレスタンクのみで発酵を行います。ジュリアン・バルビエ氏曰く「コート・デ・ブラン地区のシャルドネが本来持つ酸が強い為、マロラクティック発酵を施します。」ー飲んでみると、どのアイテムも程良い酸を残したしなやかな仕上がりとなっていました。

ドサージュはスタンダードのブラン・ド・ブランとロゼで7g/l。補糖に使用するのはMCRと呼ばれる濃縮したブドウ果汁です。 様々なプライベート・ブランドを手掛ける事もあり、オーダー毎に在庫を配慮しながらデゴルジュマンを行っているそうです。「ということは、キュヴェ毎に違いがあるのですか？」というこちらの質問に対し「そうですね。微妙なニュアンスの違いはありえます。」との興味深い返答をいただきました。

試飲して感じた支持され続ける品質の高さ

ノン・ヴィンテージのシャンパーニュでも顕著に感じる熟成のニュアンス。通常のブラン・ド・ブランで瓶内熟成を36ケ月もさせる事で、フレッシュなフルーツアロマとクッキーやトーストのようなノートがバランス良く香りました。 ロゼにおいても、メゾンの個性を感じる仕上がりです。「ブラインド・テイスティングすると、ブラン・ド・ブランと間違えるかもしれないですね。」とジュリアン・バルビエ氏のコメント。確かにシャルドネらしさが際立つ溌剌とした果実味と、チョーキーなミネラリティを感じました。

驚いたのがヴィンテージ・シャンパーニュ。まず試したのがキュヴェ・プレジダンス・ヴィェイユ・ヴィーニュ2005年です。 焦がしたパン、キャラメルの香りは樽香と間違える程、複雑で香ばしいニュアンスに満ちています。（実際はステンレス発酵です。）「ベースワインの味わいやヴィンテージ、熟成により表れる個性。もちろんヴィンテージ毎にその個性は異なります。」

キュヴェ・プレジダンスとまた別の魅力を見せたのがキュヴェ・エクセプショナル サン・ヴァンサン2000年。ブドウの守護聖人サン・ヴァンサンの名を冠した特別なキュヴェで、貫禄すら感じるような逸品でした。パイナップルなどの穏やかな果実香、カスタードクリーム、蜂蜜のニュアンス・・・。アタックは非常に繊細で、黄色い果実の風味に酸、ミネラリティが綺麗に調和しています。 濃厚なリキュールのような趣きもありますが、何とも柔らかくエレガント。15年以上の熟成を経て、デゴルジュマンは2年前に行ったそうです。本当に芸術的なシャンパーニュでした。

今後の展開は・・・

ジュリアン・バルビエ氏にメゾンの方向性を伺いました。 「1950年代よりR&Lルグラとしてスタートし、60~70年代はイメージアップ、80年代以降は輸出の強化に努めてきました。現在はアジア市場でもっと知られるように、日本を始め各国でプロモーションをしていきたい。何時でもメゾンが大切にしてきた繊細な酸と豊かなミネラルを持ち、上質な熟成を経たシャンパーニュを造ってきましたし、今後ももちろん続けて行きます。」

今回、セミナーで試飲したシャンパーニュはどのキュヴェも本当に素晴らしいものでした。驚くのはこれだけクオリティの高いシャンパーニュが比較的手頃な価格で供給されている事。価格以上の高品質な味わいにジュリアン・バルビエ氏とステファニー夫人の温かい人柄を感じました。